ある初夏の休日、イチョウ並木に足を運んだ。降りそそぐ陽射しに緑がきらめき、 自然が美しさを誇っていた。 純白にうすい絵具を運ぶと、たっぷりの水はたちまち乾 いてゆく。 時はゆっくりと歩み、木々の影が濃さを増してゆく。 いつの間にか、幾重 もの葉を通る光のように、紙の上にも緑が写しとられていた。
高橋 正紘