嚥下(のみ込み)障害の症状

聖マリアンナ医科大学・耳鼻咽喉科
春日井 滋


 食べ物や錠剤などのつかえ感や残留感の自覚(嚥下困難)や、食事中のむせ(誤嚥)が代表的な症状です。それ以外には、食事中の咳、食事中に声が変わる(痰が絡んだような声)、食事に時間がかかる、食事後に痰が増える、発熱を繰り返す、食事量が同じなのに体重が減るといった症状が起こります。

 しかし高齢者の場合、気道反射が低下していることが多く、誤嚥していてもむせが認められない(不顕性誤嚥)ことがあり注意が必要です。不顕性誤嚥は誤嚥全体の30〜70%ともいわれています。また、高齢者の嚥下(誤嚥)性肺炎は、発熱などの症状が軽度のこともあり発見が遅れることがあります。そのため食事時間が普段より長くなる、食事中に痰が絡んだような声に変わる、食事後に痰が増えるといった症状がある場合は嚥下障害を疑う必要があります。これらの症状は、少しずつ誤嚥して肺で炎症が生じて痰が増えるためです。

 嚥下障害かな?と思ったらまずは耳鼻咽喉科へ受診することをお勧め致します。但し、持病があり現在かかり付けの先生がいらっしゃる場合は、かかり付け医師からの紹介状をご持参されることをお勧め致します。お薬手帳は必ずご持参ください。


 
 
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